林田の家
 津山市郊外に竣工した「林田の家」は、70坪の母屋の隣地に、施主のご両親をお迎えする住まいを計画し、二棟をギャラリーで繋いだ住宅である。   計画は母屋の南側への増築になるため、増築による日影や圧迫感で、母屋の住環境を悪くしないように心がけた。 平面計画は、採光に有利な東西の軸線を基本にしながら、敷地境界との余白部分を雁行させた外壁を基本にして全体を構成した。 断面的には、前記のとおり、日陰の問題や圧迫感の軽減の検討から始まり、大屋根は敷地の形状に近い菱形に辿り着いた。雁行した外壁と菱形の勾配屋根のスカイラインがこの住宅の外観を創っている。  室内は、ご高齢のご両親が生活する場所であり、特に冬季のヒートショック対策に注意を要した。通路・天井裏の空気も含めて、室内の24時間の循環・換気システムを採用している。  施主とご両親の二世帯を繋ぐ「ギャラリー」にはたくさんのアートコレクションが並ぶ。二棟の住宅をダイレクトに結ぶスペースであるが、そこに置かれた、お気に入りのアートが、時間の流を少しだけ緩やかにしてくれるように思う。  当設計室は二世帯住宅を何件か計画させて頂いているが、お互いの生活空間を繋ぐエリアをバッファゾーン(緩衝地帯)と捉えて計画している。例えば、ご両親と若いご夫婦の関係と、子育てが終わったご夫婦と壮年期を迎えたご両親の関係は、当然違った意味合いのゾーン創りになるはずである。今回の「二棟の住宅の緩やかなつながり・・・」を生み出す場所の計画も楽しい作業であった。
林田の家
撮影 池本喜巳

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