勝間田の家
 この住宅は岡山県北部の小さな田舎町に計画された。会社経営に携わる若いご夫婦と娘さんの3人家族のための住まいである。  構造は3mを基本グリッドとしたRC造壁式構造で構成されているが、構造的に必要ない壁は、将来の改造計画も考慮して、木造軸組みの壁を採用している。  住宅のゾーニング及びデザインは、この敷地環境に大きな影響を受けている。敷地の南側正面に町内のゴミステーションがあり、リビングから見えるその風景は良好とは言えない。ゴミ捨てに集まる人の視線、ゴミ収集車の騒音。全面道路で定期的に起きる喧噪を「内部化したテラス」をバッファゾーンとして、その緩和を試みた。  南面の壁はランダムに張出している。しっかりとテラスを包み込みながら、3mのグリッド毎に東西にできる「壁の隙間」が、風の道を確保している。リビングやテラスからは、「壁の隙間と25㎝巾のスリット」から景色が望める。外部からのプライバシーはコンクリートのスリットにより守られ、心地よい解放感と光をもたらしている。また、リビングの横に挿入された「内庭」は、住まいの中に奥行を造りながら、諸室に「緑と風」を運ぶ役割を担っている。「内部化したテラス」は、日本民家の「縁側」の延長線上にあるが、そのプライバシーのレベルは数段上がっている。それは、現代社会と個人のプライバシーの関係が反映された結果となった。  玄関の延長としてのインナーコートには、岡山の木彫作家のオブジェを置いた。経営者としてゲストをお招きすることを想定した設えでもあるが、仕事に追われる日常の中でこそ、「一服の清涼剤」になってくれれば良いと願っている。
勝間田の家
撮影 藤原次郎

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